福祉事業所の就業規則 - 5つのチェックポイント

ポイント@ 適用範囲を明確にする。

福祉事業所で働く職員は、正規職員、パートタイマー・アルバイト、有期契約職員等に

区分されていますので、それらを明確にし、必要に応じて、区分ごとに分けられた別個

の就業規則(契約職員用就業規則 等)を作成することをお勧めします。

 

就業規則規程例

 (適用範囲)

第○条 この規則およびこれに付随する諸規程は、第○章の手続きにより

    採用され、当施設の業務に従事する職員に適用する。

  2 ただし、以下の者については、別に定める就業規則による。

    @ パートタイマー等、第○条に定める所定労働時間に比して

     1日または1週間の労働時間が短い者、およびアルバイト等

     臨時に雇用する者については、別に定める就業規則による。

      A 3年以内の期間を定めて雇用する有期契約職員

      B 常勤のホームヘルパー

   C 非常勤のホームヘルパー

   D 定年後再雇用嘱託職員

 

ポイントA 管理監督者に注意!

労働基準法上の「管理監督者」とは、労働条件の決定その他労務管理について経営者

(理事)と一体的な立場にあるものとされています。

一般的には、施設長や事務長が該当するものと思われますが、あくまで実態で判断

されるので、事業所で定めた「管理職」=「管理監督者」 ではない事に注意が

必要です。

 

現場の主任やリーダー職にあるからといって、即「管理監督者」ではない事。

「管理監督者」とは

労働基準法では、第41条で「監督若しくは管理の地位にある者」(以下「管理監督者」

といいます)については、「労働時間、休憩及び休日に関する規定は適用しない」と

なっています。

 

管理監督者に該当するかについての判断基準として、

@ 重要な職務と権限が与えられていること

A 出退勤について管理を受けないこと

B 賃金面で、その地位に相応しい待遇がなされていること

等が、挙げられますが、実際には上記の3点+αについて総合的にみたうえで、判断

される事になります。

 

管理監督者に該当すれば、残業手当の支払いなどは免除されます(経営者と一体的な

立場とみなされる為)が、管理監督者とみなされない場合は過去にさかのぼって、残業

手当の支払いを指示される事もあるので注意が必要です。

 

また、「管理監督者」とみなされた場合でも、年次有給休暇や、深夜勤務の規定

などは除外されませんのでこちらも注意が必要です。

「管理監督者」性の判断についてわかりづらい場合は、社会保険労務士などの専門家

に相談される事をおすすめいたします。

 

ポイントB セクシュアルハラスメントの防止 

福祉の職場は一般的に、女性が多いので職場のセクシュアルハラスメントに関する

規定はきちんと定めておきましょう。男性職員が少ないので必要ないのでは?

と思わず(最近は男性の介護者の方も増えてきていますので)必要十分な内容のもの

を作成しておく事が大切です。

 

セクシュアルハラスメントとは?

セクシュアルハラスメントとは、「相手方の意に反した、性的な性質の言動を行

い、それによって仕事などを遂行する上で一定の不利益を与えたり、それを

繰り返すことによって就業環境や学業環境などを著しく悪化させること」をいい

ます。


職場で具体的に義務づけられている措置内容

@ セクシュアルハラスメントの内容・セクシュアルハラスメントがあってはならな

   い旨の方針を明確化し、周知・啓発すること。

A 行為者については、厳正に対処する旨の方針・対処の内容を就業規則等に

   規定し、周知・啓発すること。

B 相談窓口をあらかじめ定めること。

C 窓口担当者は、内容や状況に応じ適切に対応できるようにすること。また、

   広く相談に対応すること。

D 事実関係を迅速かつ正確に確認すること。

E 事実確認ができた場合は、行為者及び被害者に対する措置をそれぞれ

   適切に行うこと。

F 再発防止に向けた措置を講ずること。

G 相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、

   周知すること。

H 相談したこと、事実関係の確認に協力したこと等を理由として

   不利益取扱いを行ってはならない旨を定め、周知すること。

 

セクシュアルハラスメントの禁止に関する規定を定めるだけではなく、職場で働く職員に

周知する事。万が一、職場でセクシュアルハラスメントに関する事件が起きた場合は

迅速に事実確認をし、行為者、被害者に適切な措置をすること。再発防止に努めること

などが重要になります。

 

ポイントC 1カ月単位の変形労働時間制を採用

社会福祉施設は入居施設の場合、利用者を24時間体制でケアする為に職員は交代

制で働くのが通常です。夜勤を含むシフトで勤務する場合は、1カ月単位の変形労働

時間制を採用するケースが多いでしょう。

 

 

1カ月単位の変形労働時間制は

1カ月以内の一定期間を平均し、1週間当たりの労働時間が法定労働時間を超えない

範囲内において、特定の日又は週に法定労働時間を超えて労働させることができる

制度です。

1か月単位の変形労働時間制を採用するためには、労使協定又は就業規則その他

これに準ずるものにおいて以下の事項を定め、届け出ることが必要になります。

 

1カ月単位の変形労働時間制の要件

1.1カ月の一定期間を平均し、1週間当たりの労働時間が週法定労

  働時間を超えない定めをすること

2.始業・就業の時刻を定めること

3.変形期間における各日、各週の労働時間を具体的に定めること

4.変形期間の起算日を定めること

5.有効期間を定めること(労使協定で導入するときのみ必要)

 

 

1カ月の労働時間の総枠=1カ月の歴日数÷7

 1カ月の日数  労働時間の総枠時間
 31日  177時間
 30日  171時間
 29日  165時間
 28日  160時間

 

 

 

 

1カ月の労働時間の総枠の範囲内で特定された週・日の所定労働時間を増減させる

ことが可能になり、残業代の支払いが不要になります。

 

 

スケジュール例

   日  月  火  水  木  金  土  計
 1週  休み  10H  8H  休み  8H  6H  休み  32H
 2週  休み  10H  8H  8H  8H  6H  8H  48H
 3週  休み  10H  休み  8H  8H  6H  休み  32H
 4週  休み  10H  8H  8H  8H  6H  8H  48H

 

 

ポイントD 服務規律を明確に定める

服務規律は、事業所で働く職員の秩序を守ること、事業所の組織体制の維持、それに

よって事業所の社会に対する信用を保持する為に必要なものです。

 

事業所の秩序を乱す職員がいたとしても、明確な理由がない場合には、懲戒処分や

解雇等の措置をとる事は難しくなっています。

(解雇等をする場合には、明確な理由が必要になる為)

 

服務規律をしっかりと定める事により、職場での秩序違反(服務規律違反)を

繰り返す職員に対して、懲戒処分、解雇等の厳格な措置をとることも可能に

なってきます。

 

 

事業所として、職員に社会人として守っていただきたい事、してはならない事などを

明確に服務規律に記入し周知することで、社会人としてこうあって欲しいという

メッセージを伝えていきましょう。

 

 

服務規律 例

(服務の基本)

第〇条 職員は当施設の事業目的・経営方針および社会的責任をよく理解し、

     社会福祉の向上および当施設の使命達成のため全力をあげ、誠実

     に職務を遂行しなければならない。

 

(服務心得)

第〇条 職員は就業にあたり、次の事項を守らなければならない。

    @ 職員は常に品位を保ち、当施設の信用を傷つけ、または不名誉となる

     言動や行動をしてはならない

    A 常に健康に留意し、明朗かつ積極的な態度をもって誠実に勤務すること

    B 業務の遂行にあたっては、当施設の方針を尊重するとともに、園長・同僚

     と協力し合って、円滑なチームワークに努めること

    C 就業に関して定められた事項を厳守すること

    D 服装・身だしなみに留意すること

    E 勤務時間中にみだりに私語を交わしたり私用電話をかけないこと

    F 酒気を帯びて勤務しないこと

    G 職場の整理整頓に心掛けるとともに、火災・盗難の防止および安全衛生

     に注意すること

    H 施設、車輌、機械器具その他の物品を大切に管理、保全すること

    I 当施設または園長の承認なく就業時間中にみだりに職場を離れないこと

    J 当施設または園長の承認なく、己の職務上の権限を越えて専断的なこと

     を行わないこと

    K 当施設または園長の承認なく、当施設の所有に属する一切の金品を私用

     に供さないこと

    L 当施設または園長の承認なく、業務外の目的で当施設の施設、備品等を

     使用しないこと

    M 当施設または園長の承認なく、当施設の施設内において業務外の目的で

     掲示、貼紙、印刷物の配布および演説、集会等を行わないこと。

     また、当施設の施設内および業務時間中に政治活動または宗教活動を

     行わないこと

   N 当施設または当施設に属する個人を中傷、誹謗したり、その名誉、

     信用を傷つけないこと

   O 利用者や関係団体に対して常に誠実な態度であたり、信頼を損なうよう

     な言動を行わないこと

   P 職場および職務に関連する場所ならびに当施設の行う行事で

     セクシャルハラスメントにあたる行為をしないこと

   Q 暴行、脅迫、傷害、監禁、賭博、窃盗、器物の破壊等の行為、または職場

     の風紀秩序を乱す行為あるいは他人の業務を妨害する行為をしない事

   R 職務上の地位を利用して自己の利益を図ったり、また、金品の貸借関係

     を結んだり、贈与、饗応の利益を受けたりしないこと

   S 当施設の許可なく、みだりに外来者を園内に立ち入らせないこと。また、

    外部の人に諸施設を撮影、スケッチ等をさせたり、園内の物品を贈与

    しないこと

   S 前各号のほか、本規則に違反するような行為をしないこと

 

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